腱鞘炎
料理人や美容師、ライターの職業病など、さまざまな職業名の冠がつく腱鞘炎。
手を酷使する人が、手首や指の痛みをこらえつつ働く話をよく聞きますね。
女性に多いことでも知られる腱鞘炎とは、どんな疾患なのでしょうか?
【腱鞘炎とは?】
手は、主だったものだけで27個にも及ぶ骨が、腱(けん)や筋肉でコントロールされて複雑な動きをします。丈夫で長い腱が、筋肉と骨をつなぎ、さながら操り人形のように手を操っているのです。
この大事な腱は、手のひら側の手首から指先まで5本通っているのですが、骨に「腱鞘(けんしょう)」という短い筒状のバンドで、部分的についているので、指を動かすときに腱鞘のなかを通ります。その腱と腱鞘が擦り合わされて起こる炎症が「腱鞘炎」です。
指の腱鞘炎が進行して起こるのが「ばね指(弾発指)」。
指の曲げのばしがスムーズにいかず、カクンというひっかかりや痛みがでる状態です。患者の8割が女性だといわれるほど、女性に多い疾患です。
親指を使いすぎて手の甲や手首の痛みにつながるのが「ドケルバン病」です。
19世紀にドゥ・ケルバンというスイス人医師が発見したことが病名の由来ですが、用の東西を問わず、当時の家事がいかに手指を酷使したか想像できます。
腱鞘炎が女性に多いというのも納得です。
【腱鞘炎の原因】
手を使う特定の職業や家事を担う女性に多い腱鞘炎。
多くは「手の使いすぎ」によって起こるものですが、女性に多い理由は、実は手の使いすぎばかりではありません。
腱鞘炎は、女性でも特に周産期や更年期に起こりやすいのですが、この時期には、女性ホルモンである「エストロゲン」が欠乏します。
このエストロゲンが、実は腱鞘の健康に大きく関係することが分かっています。
エストロゲンが不足すると、炎症が起こりやすくなり、腱鞘と腱も擦れやすくなってしまうのです。
家事に加え、産後は子供を抱く時間が増えます。更年期以降は慢性的にエストロゲン欠乏になります。家事の量は同じでも、腱鞘が傷つく可能性が増えるのです。
出産前後、更年期の女性は、家事や育児を男性に任せてしまいましょう。
【当院のアプローチ】
当院ではまず、疲労がたまってしまった筋肉をほぐし、炎症物質と疲労物質がすみやかに排出されるよう、血液やリンパの循環を整えます。
次に、痛みが原因で過緊張を起こした筋肉に引っ張られ、ずれてしまった関節のゆがみを戻し、根本からの改善を目指します。
腱鞘炎と思われる症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。